続・大阪 is Dead〜人情の街から差別の街へ
いやあ、もう何なんですかねえ。色々書こうと思ったそばから次々と起き過ぎていちいち取り上げるヒマがない、モノを書きたい人間にはなかなか悲喜交々です。まあ全部困る話なんですが、
長谷川豊氏ブログ暴言→全レギュラー降板
松井大阪府知事、江田氏「痴呆症」発言→謝罪
市場ずしワサビテロ事件
阪急バス「キムチョン」事件
南海電車「迷惑」アナウンス事件
心斎橋道頓堀で韓国人観光客が暴力を受けて韓国総領事館が注意を呼びかけ
長谷川豊氏と石原慎太郎氏については途中までエントリー纏めて書いていましたが、あまりに事件が多発しているため後回しにせざるを得なくなりました。松井大阪府知事についてもそちらに譲り、ここでは残り4件についてざっと纏めましょう。まあ松井府知事と長谷川豊氏の件はこれらにリンクはするのですが。
市場ずしについては既に店側も認めている通り、外国人観光客に対してワサビの多い寿司を意図的に出していた事実を認めています。かねてから日本人の客でも気に入らない客にはワサビをぶち込んだ寿司テロを起こしていたという証言があり、だから差別ではないと擁護する向きもありますが、いやあ気に入らないから外国人にワサビテロを食らわしていたのならそれは差別そのものですよ。だってワサビテロ判定基準に「外国人だから」があった訳なんですから。
しかも市場ずしはワサビテロについては謝りましたが、外国人差別については否定しています。これ、実は謝ってないのとほぼ同じです。だってそうでしょう、おまえら外国人だからワサビぶっ込んでやるよってやられた後にワサビだけ謝られて、それが謝罪と言えますか?外国人観光客が怒っているのはワサビを大量に入れられたからじゃなく、ワサビを大量に入れられた理由が外国人差別だからです。そこにフタをしたままの謝罪は実は謝罪じゃありません。
続報によると市場ずしは現在今度はワサビを全く出さず、入れてくれと言っても「あんた達はワサビいらないんでしょう?」という態度との由。ワサビは別添えに変えたと聞いていましたが、うん、こんな反省のかけらも見えないままなら私は市場ずしには一生行かないでしょう。美味い寿司も外国人差別があると思うと台無しですから。
次に阪急バスですが、キムさんと名乗った方に対して職員がバスチケットの名前欄に「キムチョン」と勝手に記入したという、これまたアンビリーバブルな話でした。「チョン」が差別的ニュアンスを多分に含む事を関西圏で公共交通には携わる人間が知らないなんて信じられませんが、阪急バスは少なくとも市場ずしと異なり、会社としてまともな謝罪コメントを出しているのがせめてもの救いです。
南海電鉄の件は最近のニュースですね。関西国際空港へ向かう急行電車内で車掌がなんと「本日は多数の外国人のお客さまが乗車されており、大変混雑しておりますので、日本人のお客さまにはご不便をおかけしております」とアナウンスをしたという、これまた酷過ぎる話です。関西国際空港のお客様を預かる電車で外国人か迷惑としか取れないアナウンスが流れたら日本語の分かる外国人観光客の皆さんはどう感じるかも分からないのでしょうか。乗客が即抗議して南海側も口頭注意したそうなので再発は無いでしょうが、やや処分が甘いのは気になります。
原因は外国人観光客の荷物を日本人の乗客が蹴ったからだそうで、まあ確かに以前より関西国際空港の乗客は多くなった印象ですが、そりゃ国際空港と難波駅を結ぶ路線なんだから当たり前。観光客にも非があった可能性は少なからずあるとしても、そこで日本人が荷物を蹴るなんて行為に行ってしまうテンションなのがまず問題だし、南海側の説明を信じるにしてもこの言い方はそもそも日本人同士だったとしても有り得ないですよね。観光客が多くて一般客の皆さんに迷惑をおかけしてますなんてあなたの旅先でアナウンスが流れたらどう思います?って話です。ましてや国際空港への路線をドル箱とする電鉄ですよ?アホとしか言いようがありません。
そして最新ニュース。ついに道頓堀で暴力沙汰と来たもんですよ。しかも犯人は特定出来ず、被害者は旅行中で被害者届けも出せなくて警察にも取り合ってもらえず、韓国総領事館が観光客に注意を呼びかける事態になってしまいました。
という訳で関西だけでなんと4件、1ヶ月に人種差別に基づく事件が発生してしまいました。これは偶然でしょうか?いや、私はむしろ必然と見ています。これは関西がいち早く排他的な方向へ先鋭化した結果です。元々関西には関西弁をしゃべらない人間にやたら攻撃的になったりするような側面もありましたが、この昨今の風潮は完全に関西発メディアの悪しき成果ですね。
橋下府政誕生以来、おおさか維新は関西のメディアを制圧しました。それには橋下徹氏と島田紳助氏、やしきたかじん氏との繋がりも大きかったと聞きます。島田紳助氏は色々ありましたが少なくとも彼個人は政治的には極端なカラーは出していませんでした。問題は今は亡きやしきたかじん氏ですね。彼はそもそも暴言の数々で名を知られましたが、実はその発言内容で堀ちえみさんの元夫に訴えられ、賠償命令を受けています。私は彼の歌は好きですが、彼の発言内容はあまり信じていませんでした。そんな彼がホストを務めた番組がだんだんバランスを欠いた内容に変容していったのが今の惨状の始まりです。
気が付けば関西のテレビ番組はたかじん氏の番組が増え、その内容は自民党・維新寄りに一気に傾きました。特に維新の批判を関西圏のテレビで見るのはかなりレアになってしまいましたね。自民党にとって今や関西のテレビ局はかなり居心地が良いらしく、安倍首相もニコニコしながら出演していました。
たかじん氏逝去後もその流れは変わりませんでした。むしろたかじん氏の残した数々の番組の高視聴率を受け、各局がその後追いをしているようにさえ見えます。おそらくはその結果が、私が先日見かけた『胸いっぱいサミット!』であり、東野幸治氏が司会する『教えて!ニュースライブ 正義のミカタ』 なのでしょう。立場を利用した愛人大量作成問題で揉めて在京メディアからいなくなった岡田斗司夫氏も出演していると聞いてまた頭が痛くなりましたが、これまた民進党をボロクソにやっつけている内容の番組だそうで・・・いや民進党も色々ありますけどね。この手の番組は大抵吉本芸人が司会をしているように見えますが、これも橋下ルートから来ているのか、はたまたたかじん氏からの流れでしょうか?
これらの保守系番組に共通しているのが、中国・北朝鮮・韓国への敵意が際立つことです。そりゃ中国の尖閣諸島などでの動きは要注意だし大国相手ですから緊張感は必要ですよ。北朝鮮はミサイルやら拉致された人々の話もあります。韓国も竹島問題がありますし、これら三国にはそもそも第二次世界大戦の時の問題も色々あります。しかし、今の関西圏の番組はあまりに敵意を煽り過ぎでしょう。今すぐ中国が日本に攻め込んでくるかのような勢いです。
そしてまた、これらの番組は上で挙げた数々の事件に対してあまりに反応が鈍いんです。いや、それどころか擁護さえしている節があります。実際に市場ずしの件ではそういうコメントがなされていました。
私にはこれら一連の事件に対するメディアや国、自治体の反応の薄さが全く信じられません。今の大阪は中国・韓国人観光客がいっぱいお金を落としてくれている事ぐらい、梅田のヨドバシカメラや難波のビックカメラを見れば分かる話です。彼らにそっぽを向かれて観光収入を無くしたら経済的マイナスは否めません。ましてや東京オリンピックを4年後に控える日本ですよ。こんな差別的な関西人が東京の五輪会場で外国人観光客や選手に向かって暴言でも吐いた日には国家レヴェルの恥です。しかも今度は大阪で再度万博開催を、なんて話さえ出てきました。ご冗談でしょう?今のままなら世界の国からこんにちはしてきた人々に塩どころかワサビぶん投げて帰す勢いで、世界の人々にいかに日本が差別国家かをアピールする悪夢の舞台になります。
こんな経済的にも人道的にも圧倒的な水準でアウトな状況を、まずマスメディアはまるで危機感を持って報じません。それは在特会の「〇〇人は殺せ」という極めて前近代的なシュプレヒコールにも反応が鈍かった時と同じではありますが、あまりに感覚が麻痺してしまっているんじゃありませんか。むしろ擁護している番組など最早論外です。
そして国と自治体。特に信じられないのが大阪府・大阪市で、直近でこれだけの事が連発して発生し、当事国以外の海外でも報じられているというのにほぼ動きがありません。これは大阪府・大阪市が日本人以外の人権を保護する気がないという宣言でしょうか。
彼ら、おおさか維新の支持層は外国人(しかも特定の国々)に対して排他的な人々が多いため、松井大阪府知事・吉村大阪市長がこれらの件に対して積極的に動きたくないのは想像がつきますが、だからって何を手を拱いているんでしょう。既に韓国人観光客が暴力を振るわれる事態にまで至っている以上、このまま事態がエスカレートしたら命に関わるような最悪のケースは最早射程圏内でしょう。そうなってしまえば、大阪は、日本は人種差別で観光客を殺める差別大国と世界に認知されます。そんな国でオリンピック?こんな偽善があるかってんですよ。そういう危機感がマスメディア、国、大阪府・大阪市のどこにもないのが本当に信じられません。このまま事態を放置して犠牲者が出るようなら、日本はもうオリンピックなんて即返上してしまった方が余程マシです。
今からでも遅くありません。更なる被害が出てしまう前に、大阪府・大阪市はいかなる差別も許さないと高らかに宣言を出し、それを実現させる具体的な策を速やかに立案・実行に移すべきです。そうしないと関西どころか日本全体にとてつもないダメージが発生します。そうなってしまってからレッテル貼りがどうだとかイメージ回復策だとか後手後手なことをやっても全てが手遅れでしょう。
とりあえず差別に対して全く鈍感になってしまった残念な大阪の皆さんに私が適切と考えるワクチンは『あのころはフリードリヒがいた』です。ナチスドイツによるユダヤ人差別政策をテーマにしたこの小説に出て来るドイツ人は、殆ど今の大阪人の姿に重なります。いや断言します、おんなじです。このまま行けばあなた達は遠からず韓国や中国の人々に対して、直接的にせよ間接的にせよ刃を向けることになるでしょう。そうなる前に自分達の醜い姿を、どうかこの岩波少年文庫の本で見つめ直して下さい。あなた達が日本のフリードリヒを追い詰めるその前に。