ALL-ROUND POLITICS〜現実的理想主義政治談義ブログ

現実を見ながら理想を目指す的な政治ブログを目指します。右も左も仲良くやりましょう。

蓮舫議員問題から見える日本の差別意識悪化問題

いやー、酷い事になってますね。はい、民進党の代表選日本語伴う蓮舫議員の「二重国籍」問題です。いや、本当はそんな問題なんかなかったんです。アゴラってネットメディアと産経新聞が勝手に問題視しただけなんですよね。

 

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/174784/090800060/

先に言ってしまうと、この蓮舫議員の件についてはもう上掲の小田嶋隆さんの文章が殆ど全貌を捉えており、あまり追記する必要はありません。ですので、私としては二重国籍の疑い云々のクダラナイ(そう、クダラナイんですよ)話はもう終わったものとして、小田嶋隆さんの文章に僭越ながら補足を加えるぐらいの意識でこのエントリーを書きます。

 

私の感想ですが、多分この「二重国籍」話は元々東京都知事選の際に仕込まれスタンバイされたんじゃないかと思うんです。あの時、保守分裂の状況で蓮舫議員が東京都知事選に打って出れば小池百合子氏もかなり危うかったでしょう。そんな状況を変えるべく、蓮舫議員のマイナス材料が探された事は、実際に都知事選に出るなり女性問題のトラブルが発掘さ文春砲としてブチ込まれた鳥越俊太郎氏の顛末から考えれば想像に難くないでしょう。ただ、蓮舫議員は都知事選に出馬しなかったのでこのネタは一旦ストックされた。それが、民進党代表選の立候補ということで早くもリサイクルされた、ということなんでしょうね。

 

そもそも蓮舫議員にケチをつける、イメージを悪化させる事が目的だったためもあってか、本件はあまりスジの良い話ではなかったように見えます。つまり、あまり蓮舫議員を追い詰めるのには決定力も弱い上に、国籍というともすればナイーヴなテーマなので声高にあれこれ言い立て過ぎると逆に追及する側がキズつきかねない諸刃の剣であり、実際今回蓮舫議員を叩いた側は差別主義者との誹りを受けています。そこで最初に騒いだ側が自己正当化の為に蓮舫議員を叩いた事を正当化出来るロジックを必死に探しているのが今の状況でしょうね。

 

既に二重国籍云々の話はクリアになり、過去の雑誌での蓮舫議員の発言についてもそれなりに納得行く説明がなされました。じゃあどうする?そこで「ウソの説明をしたのが悪い」ですが、これもまあ事実確認が甘かったね、いけないね以上の話にはなりません。

 

と思っていたら先日、新たなロジックが誕生しました。曰く「法的責任がないと言うが蓮舫議員だってかつて法的責任の無かった松岡元大臣を追い詰めて自殺に追い込んだ!」・・・一見それっぽいロジックで3桁RT行ってましたが、いやまあしれっとウソをつく奴と、そのウソに騙される奴がいるんだなあとしか思えません。

 

まず、仮に松岡元大臣を追い詰めたのが蓮舫議員と民主党(当時)だから悪だというのがもうおかしいんです。松岡元大臣ってそんなヤワなタマじゃないんですよ。

 

http://officematsunaga.livedoor.biz/archives/50386293.html

 

こちらは松岡元大臣自殺当時、オフィス・マツナガが出した記事です。今では自民党大好き、反民進党カラーを濃厚に打ち出しているオフィス・マツナガですが昔はそこまで偏りは無く、政界の裏情報をバランス良く教えてくれる良質なニュースソースのひとつでした。今ではなかなかアレな愛国系ソースと化しておりますが・・・。

 

これ以外でも松岡元大臣がどんな政治家だったかを調べれば、野党の追及如きそれまでもやらかしてきたあれこれと大差無いのが分かるはずです。むしろ、さっきの記事を見ていると松岡元大臣を追い詰めたのはスキャンダル連発で選挙に勝てない事を焦り、松岡元大臣に辞任を促す圧力をかけた自民党側のようにしか読めません。

 

もしこれだけ真っ黒だった大臣を追及する事が誤りだったと言うならば、野党は今後与党の不正を糾してはいけないことになります。あれ、民主党政権時代にも色々大した事のない発言で揚げ足取って大臣解任みたいな話がありましたが、あれは良かったのでしょうか。随分と都合の良い話ですね。なんかやたらモノの値段を尋ねる民主党議員がいた?まああまりあれを評価もしませんが、少なくともそれは蓮舫議員ではありませんし、だからって蓮舫議員への差別的なバッシングが許される訳ではないでしょう。

 

そう、今回の国籍の話はややこしいんです。たとえばノーベル賞を取った日本人の国籍が実は日本脱出済みだったりしますよね。スポーツ選手と国籍の話は?彼らは良くて政治家だけダメなんですか?とか、とにかくスジが良くない。与党議員達が今回菅官房長官以外表向きは何も話さないのは賢明というべきでしょう。菅官房長官すら、原則論を話したに過ぎません。

 

私はむしろ、この件ではしゃいで蓮舫議員バッシングに勤しむ方々が心配です。というのも、この国は4年後に東京でオリンピックをやる訳で、そんな国で今更こんなアナクロな国籍問題が起きてますなんて話は国際的に何のプラスにもならないどころか、むしろ国の恥になりかねません。

 

先日も浦和レッズ関連で差別的なファンの言動で何度も騒動が起きてます。あんなのが五輪本番で起きたらインターナショナルに日本の恥な訳で、特に五輪が近付くにつれてそのあたり厳しくなる可能性は低くありません。そうなったら、今好き勝手に蓮舫議員を差別的な文脈で叩いているお歴々・・・維新系議員、アゴラ、産経、青林堂、保守速報系まとめサイト、ネットに蔓延る「愛国」系評論家・活動家達はあっさり自民党から切り捨てられてもおかしくはないのです。

 

少し前まで彼らのアイドルの1人だった元自衛隊の田母神氏なんて、選挙違反一発で庇われもせずに塀の中に落ちました。かなりアウトな状況だった甘利前大臣を守り切った(それもどうかとは思いますが)のとえらい違いですね。そう、自民党から見て彼らは自分達が言えないような過激な発言をやってくれる都合の良い存在でしかないんです。それで野党側の評判が下がれば良し、風向きが悪くなれば全てそれを言っていた連中の責任にして切り捨てればノーリスク。なんか昔のヒーローもの番組の悪役まんまですね(笑)。

 

そんな訳なので蓮舫議員叩きにまだ勤しんでいる皆さん、多分そろそろそれぐらいにしといた方がいいと思いますよ、田母神氏の後を追う前に。これは忠告とか警告とかそんな偉そうなもんではなく、アドヴァイスです。ご検討頂けますと幸いです。