ALL-ROUND POLITICS〜現実的理想主義政治談義ブログ

現実を見ながら理想を目指す的な政治ブログを目指します。右も左も仲良くやりましょう。

政治家とメディアの関係

泉田新潟県知事が次回知事選への立候補を取り下げた事が、結構な反響を呼んでいますね。福島原発事故を契機に新潟の原発再稼働にあたって東京電力に対してもっとも苛烈かつ的確な指摘を行い続けていた泉田知事でしたが、案の定狙い撃ちされたようで選挙にも影響力大の新潟日報紙には泉田知事への批判的な記事がガンガン掲載。一方で東京電力の広告出稿もガンガンだったそうで、ここまでモロ出しだと流石に笑うしかなくなります。カネに転んで筆を曲げる分かり易いサンプルとして後世に語り継ぐべきですね(笑)。

 

この件で私が今回最初に連想したのは、田中康夫長野県知事のことでした。「しなやかな改革」を旗印に透明ガラス張りの知事室というアイデア、ダム建築ばかりの旧態依然とした県の手法へのメス入れと一時はメディアでも非常にもてはやされていた田中知事でしたが、昔のように公共工事で潤いたい守旧派との戦いに最終的には敗れ去ってしまいました。あの時も結局地元メディアは田中知事から離れていったんですよね。田中知事側に全く問題が無かったとは言いませんが、分かり易い反動だよなとは思いました。田中知事が退任した途端にガラス張り知事室をやめるあたり、後任の方はボクはやましいですよと宣言してるようなもんなんですけどね(笑)。

 

特に選挙を考えると、メディアが敵が味方かはそれなりに大事です。右寄りな方々はよく反日朝日新聞ガーとか仰いますが、押し紙問題はあるにせよ日本最大の部数を出している新聞は読売新聞な訳ですからね。渡辺恒雄社主の動き方を見れば、ああ自民党政権に都合の良い方向に世論を動かそうとしてるなーって社説ばかりなのも普通に納得が行きます。まあ朝日新聞だって近年は結構読売新聞と違わないなーと思う場面がありますが。産経新聞?いやあ、あれは広報紙だと思わないと。民主党政権誕生時に「下野なう」って言い放った新聞ですよ?

 

 もちろんテレビはもっと重要です。安倍首相は1回目の政権時にメディアにボコられた経験から、今回は徹底してメディアの懐柔を行なっています。新聞の首相動向を見れば、首相がいかにメディア幹部と夕食を共にしているか分かりますね。先日はとうとう新聞社へ首相が出向いて、しかも他の新聞社の幹部まで集まって一緒に食事してましたが、あれを見て公正な報道をあれらのメディアがやってくれると無邪気に信じるのは無理がありますな。そんな安倍首相は更に露骨にNHKを押さえにかかりました。元々首相になる前からNHKに圧力をかけて番組内容を改変させた実績のある首相は、会長を自分の息のかかった人間に変え、自分達に不利な報道の抑制とプロパガンダ化を進めさせました。そのあたりについての詳細はまた次の機会に譲りますが。

 

全国的なメディアがかなりこの首相の食事接待攻勢で与党側にたなびきつつある中で、地方メディアは実は割と反対の動きを見せています。中日新聞(東京新聞)は今でもなかなか与党の動きに対して批判的な論調を崩していませんし、神奈川新聞は昨今の反動的な動きに対して警鐘を鳴らし続けています。しかし、まあそんな新聞社ばかりでは当然ありません。上記の新潟日報の場合は東京電力がバンバン広告を打ちまくってまして、あ・・・(察し)って感じではありますね。

 

じゃあ沖縄はどうなんだって話ですが、あれはもうメディアも総じて翁長知事を支持していますね。元々自民党出身で長年那覇市長を務めてきた翁長知事は保守分裂して野党と組んで出来た県政でもあり、元々幅広い支持を得やすかったというのもあるかも知れません。こういう状況だからこそ自民党筋や彼らと親しい百田尚樹氏などは沖縄の新聞社2社(琉球新報沖縄タイムス)をボロクソにけなし、潰せなどと時代劇の悪代官みたいな台詞を口にするのです。沖縄では新たな新聞社設立の話もあるそうで、ああ産経新聞系なんだろうなあという感じですな。そういう姑息なメディア戦術だけで沖縄の状況がすぐ変わるとも思えないのですがね。

 

地方メディアとの付き合いが一番上手いのはおおさか維新改め日本維新の面々でしょう。元々テレビのバラエティー出演で芸能界にもコネクションがあった橋下徹氏は大阪のメディアを見事に懐柔し、自分達への批判的な報道をほぼ押さえてしまった感さえあります。民進党に成り代わり野党第二党になろうという彼らの作戦は先の参議院選で関西地区での民進党当選者が京都の福山哲郎議員ただ1人という結果を見る限り大成功していますね。私の両親や友人達もすっかり懐柔されてました。橋下徹氏のメディア対策については松本創氏の「誰が『橋下徹』をつくったか」が詳しいので是非一読をお勧めします。

 

恐らく、東京で今度は小池都知事が橋下徹氏と同じような動きに出ると思います。小池都知事はメディア出身だけあって立ち振る舞い、パフォーマンスは本当に上手いですね。同じテレビ畑でも「ルーピー」のヤジぐらいしか実績の無い丸川珠代議員とは雲泥の差です。日本新党からキャリアを始めてあちこち渡り歩いてきただけのことはあります。中身はすっかり極右政治家になってますが。

 

小池都知事は自民党に逆らったように見えますが、今のところ自民党から何の処罰も受けておらず、また本人も積極的に自民党を飛び出す意思はないように思われます。私は小池都知事は結局自民党に留まると踏んでます。ただ日本維新と組んで東京で民進党勢力を追い出す役回りもあり得るかなと思い始めました。肝心の橋下氏との関係があまり良くなさそうに見えるので何とも言えませんが。橋下氏、石原慎太郎氏とも折り合い悪かったですからねえ。保守系保守系で色々あるのかも知れません。

 

ともあれ小池都知事が東京でどう立ち回るかは注目です。まずはリオ五輪での閉会式、そして築地市場移転の延期(あくまで延期ですが)とポイントは稼げていますが、東京五輪についてのコスト問題に切り込めるかは重要なところです。ここで森元首相とやり合えるか。いや、多分やり合う演技止まりでしょうけど。

 

築地市場移転問題も難しくて、これは石原都政への批判に繋がるんですよね。舛添前知事は石原都政の残務整理を地道にやっていましたが、果たして小池都知事にそれが出来るか。ある意味地雷処理みたいな仕事ですからねこれ。まあ、まずは橋下氏みたいに最初威勢の良いことだけ言っていつの間にか引っ込めていないか注目しましょう。

 

あれ、そう言えば小池都知事は都議会を即時解散するんじゃなかったでしたっけ?あれれ?