ALL-ROUND POLITICS〜現実的理想主義政治談義ブログ

現実を見ながら理想を目指す的な政治ブログを目指します。右も左も仲良くやりましょう。

安倍マリオを攻めるのはよしなさい

リオ五輪、皆さんご覧になられましたでしょうか。私はあんまり見なかったんですけど、まあなんやかんやで盛り上がりましたね。治安が心配されていて実際色々起きましたが、まあ選手村でテロの犠牲者が出たミュンヘン五輪に比べればまだ救いはあるかなとは思います。だからやっぱり五輪はやるべきだ、東京五輪に反対する奴はバカだみたいな論調も見かけましたが、いや五輪開催中じゃなくて五輪終わった後の施設維持コストが問題なんですけどねえ。

 

さて、そんな中でリオ五輪の閉会式が反響を呼んでいます。なんと小池都知事のみならず、安倍首相までが閉会式に顔を出しました。しかも、まさかのマリオ役で土管から登場ですからね。このパフォーマンスについて、世間受けは概ね好評のように見えます。一方でこのパフォーマンスについてボロクソ言う向きも見られますね。

 

お前はどうなんだ?はい、お答えします。まあ貶すのは難しいかなーと。

 

私は安倍首相支持者ではないし、消極的自民党支持者でもないんですけど、この件に関して安倍首相に批判を浴びせるのはあまり得策ではないように感じます。以下、安倍首相のパフォーマンスに批判的な意見を引用しつつ、その理由を述べます。

 

1.そもそも五輪憲章違反

 

オリンピックにおいて政治的なアピールは禁止とされます。黒人差別に抗うパフォーマンスを表彰台で示した結果、その後徹底的に干されたアスリートも実在するぐらいです。いや、でした。

 

しかし、残念ながら前回ロンドン五輪では流石に本人ではないにせよエリザベス女王まで出て来てしまったじゃないですか。政治的な実権はともかく、君主が五輪開会式で使われる時代に総理大臣が閉会式に出るなんて!とクレームつけても、残念ながら共感を得るのは難しいです。

 

そもそも安倍首相があそこでああいうパフォーマンスをすることを五輪関係者は当然知っている訳で、つまり彼らは政治家が五輪の閉会式に現れる事を許したという事なんですよね・・・。

 

2.国粋的なアピールだった

 

日の丸、君が代が前に出ていた、右翼な安倍首相と小池都知事らしいパフォーマンスだという非難も見かけました。確かにこの2人は右翼系な政治家ですけど、この線で攻めるのもなかなかハードルが高いです。だって、ここは五輪会場ですから。

 

ギリシアを筆頭に各国の国旗がはためき、金メダルを取れば国歌が流れるのが五輪という場所です。そこでパフォーマンスする以上、国歌が流れるのも日の丸が出て来るのも不自然でもありません。

 

むしろ、あのパフォーマンスの内容はやや国粋的なイメージを抑制していたように見えます。確かに君が代は流れましたが小池都知事も着物を着ていただけで特におかしな事はしておらず、安倍首相に至ってはマリオでしょう。なぜイタリアの配管工ルックなんだと揶揄する報道が海外にもありましたが、あそこで神主ルックとか時代錯誤な事をやらかしたならともかく、むしろ世界に名が通っていて洋服姿のマリオを選んだ事はむしろ日本が日本がとガーガー言う文脈からは遠くなってますよね。

 

音楽担当の中田ヤスタカはブラジルへのリスペクトとしてサンバのリズムで楽曲を作成していましたし、椎名林檎プロデュースのショーも日本ガー日本ガーというような感じではありませんでした。映像も渋谷のスクランブル交差点は外国人観光客にはお馴染みの場所ですし、女子高生を出すのがイヤらしいとか言われてもあの子も実はアスリートだったりします。アニメキャラのセレクトもユーロ圏や南米に強いキャプテン翼、世界のハローキティ、アジア圏で認知度の高いドラえもん、そしてとどめにマリオでしょう。ピカチュウ入れば完璧なラインアップで、少し前の東京五輪アピール用アニメキャラ大集合みたいなキャンペーン時の残念なセレクトとは大違いでした。

 

あそこで神社をやたら強調するとか、旭日旗が出て来たとかなら分かります。しかし、あの内容のパフォーマンスでは右傾化を叫ぶのに適切な対象ではありません。

 

3.カネがかかりすぎ

 

これはまあそうでしょう。12億円かかったことについては色々言えなくはありません。ただ、上記の通り色々なアニメキャラを出し、結構なCGぶち込んであの映像を作り上げているのも事実。じゃあ何億なら良かったの?と言われると、はたと困ってしまいます。

 

そもそも五輪そのものが金食い虫になっている事は事実であり、その攻め筋は正しいんです。ただ、このパフォーマンスについては「まあそんなもんかもね」で済まされる可能性大ではないでしょうか。ここで必死に「いや、かかり過ぎなんだよ!」と声を荒げても多分共感を得るのは難しいでしょう。ああ、この人は安倍首相が嫌いなだけなのね、で済まされて終わりかねません。

 

総じて、今回のリオ五輪での安倍首相を含めた東京五輪アピールは良く出来ていたと言わざるを得ません。ああ、広告代理店が久々に本気出しよったなあという感想ですね。現政権の姿勢を考えればこれは政治的に突出してナショナリズムを強調した内容ではなかったと言えます。しかもラストの曲、あれは椎名林檎野田秀樹の舞台『エッグ』に提供したものです。詳しくはググってみて下さい。椎名林檎、実はかなり攻めてたんです。

 

こういうところで安倍首相ガー安倍首相ガーとしつこくやっても、なかなか賛意は得られないでしょう。今回はむしろ非常にうまくやったということです。安倍首相を責めるならここは諦めてさっと引いて、沖縄基地問題なりアベノミクスの現状なり別のフィールドでやりましょうよ。

 

最後に一言。でも、あの土管から登場した時の安倍首相、あんまり笑顔じゃなかったんですよね。すぐマリオの衣装を脱いだあたりからしても安倍首相自身はあんまりマリオをやりたくなかったんじゃないでしょうか。あの人、国会とかテレビ出演を見てても分かりますけど不機嫌なのがすぐ顔と口に出ますから(;^_^A