ALL-ROUND POLITICS〜現実的理想主義政治談義ブログ

現実を見ながら理想を目指す的な政治ブログを目指します。右も左も仲良くやりましょう。

続・大阪 is Dead〜人情の街から差別の街へ

いやあ、もう何なんですかねえ。色々書こうと思ったそばから次々と起き過ぎていちいち取り上げるヒマがない、モノを書きたい人間にはなかなか悲喜交々です。まあ全部困る話なんですが、

 

長谷川豊氏ブログ暴言→全レギュラー降板

石原慎太郎氏築地→豊洲移転問題証言拒否

松井大阪府知事、江田氏「痴呆症」発言→謝罪

市場ずしワサビテロ事件

阪急バス「キムチョン」事件

南海電車「迷惑」アナウンス事件

心斎橋道頓堀で韓国人観光客が暴力を受けて韓国総領事館が注意を呼びかけ

 

長谷川豊氏と石原慎太郎氏については途中までエントリー纏めて書いていましたが、あまりに事件が多発しているため後回しにせざるを得なくなりました。松井大阪府知事についてもそちらに譲り、ここでは残り4件についてざっと纏めましょう。まあ松井府知事と長谷川豊氏の件はこれらにリンクはするのですが。

 

市場ずしについては既に店側も認めている通り、外国人観光客に対してワサビの多い寿司を意図的に出していた事実を認めています。かねてから日本人の客でも気に入らない客にはワサビをぶち込んだ寿司テロを起こしていたという証言があり、だから差別ではないと擁護する向きもありますが、いやあ気に入らないから外国人にワサビテロを食らわしていたのならそれは差別そのものですよ。だってワサビテロ判定基準に「外国人だから」があった訳なんですから。

 

しかも市場ずしはワサビテロについては謝りましたが、外国人差別については否定しています。これ、実は謝ってないのとほぼ同じです。だってそうでしょう、おまえら外国人だからワサビぶっ込んでやるよってやられた後にワサビだけ謝られて、それが謝罪と言えますか?外国人観光客が怒っているのはワサビを大量に入れられたからじゃなく、ワサビを大量に入れられた理由が外国人差別だからです。そこにフタをしたままの謝罪は実は謝罪じゃありません。

 

続報によると市場ずしは現在今度はワサビを全く出さず、入れてくれと言っても「あんた達はワサビいらないんでしょう?」という態度との由。ワサビは別添えに変えたと聞いていましたが、うん、こんな反省のかけらも見えないままなら私は市場ずしには一生行かないでしょう。美味い寿司も外国人差別があると思うと台無しですから。

 

次に阪急バスですが、キムさんと名乗った方に対して職員がバスチケットの名前欄に「キムチョン」と勝手に記入したという、これまたアンビリーバブルな話でした。「チョン」が差別的ニュアンスを多分に含む事を関西圏で公共交通には携わる人間が知らないなんて信じられませんが、阪急バスは少なくとも市場ずしと異なり、会社としてまともな謝罪コメントを出しているのがせめてもの救いです。

 

南海電鉄の件は最近のニュースですね。関西国際空港へ向かう急行電車内で車掌がなんと「本日は多数の外国人のお客さまが乗車されており、大変混雑しておりますので、日本人のお客さまにはご不便をおかけしております」とアナウンスをしたという、これまた酷過ぎる話です。関西国際空港のお客様を預かる電車で外国人か迷惑としか取れないアナウンスが流れたら日本語の分かる外国人観光客の皆さんはどう感じるかも分からないのでしょうか。乗客が即抗議して南海側も口頭注意したそうなので再発は無いでしょうが、やや処分が甘いのは気になります。

 

原因は外国人観光客の荷物を日本人の乗客が蹴ったからだそうで、まあ確かに以前より関西国際空港の乗客は多くなった印象ですが、そりゃ国際空港と難波駅を結ぶ路線なんだから当たり前。観光客にも非があった可能性は少なからずあるとしても、そこで日本人が荷物を蹴るなんて行為に行ってしまうテンションなのがまず問題だし、南海側の説明を信じるにしてもこの言い方はそもそも日本人同士だったとしても有り得ないですよね。観光客が多くて一般客の皆さんに迷惑をおかけしてますなんてあなたの旅先でアナウンスが流れたらどう思います?って話です。ましてや国際空港への路線をドル箱とする電鉄ですよ?アホとしか言いようがありません。

 

そして最新ニュース。ついに道頓堀で暴力沙汰と来たもんですよ。しかも犯人は特定出来ず、被害者は旅行中で被害者届けも出せなくて警察にも取り合ってもらえず、韓国総領事館が観光客に注意を呼びかける事態になってしまいました。

 

という訳で関西だけでなんと4件、1ヶ月に人種差別に基づく事件が発生してしまいました。これは偶然でしょうか?いや、私はむしろ必然と見ています。これは関西がいち早く排他的な方向へ先鋭化した結果です。元々関西には関西弁をしゃべらない人間にやたら攻撃的になったりするような側面もありましたが、この昨今の風潮は完全に関西発メディアの悪しき成果ですね。

 

橋下府政誕生以来、おおさか維新は関西のメディアを制圧しました。それには橋下徹氏と島田紳助氏、やしきたかじん氏との繋がりも大きかったと聞きます。島田紳助氏は色々ありましたが少なくとも彼個人は政治的には極端なカラーは出していませんでした。問題は今は亡きやしきたかじん氏ですね。彼はそもそも暴言の数々で名を知られましたが、実はその発言内容で堀ちえみさんの元夫に訴えられ、賠償命令を受けています。私は彼の歌は好きですが、彼の発言内容はあまり信じていませんでした。そんな彼がホストを務めた番組がだんだんバランスを欠いた内容に変容していったのが今の惨状の始まりです。

 

気が付けば関西のテレビ番組はたかじん氏の番組が増え、その内容は自民党・維新寄りに一気に傾きました。特に維新の批判を関西圏のテレビで見るのはかなりレアになってしまいましたね。自民党にとって今や関西のテレビ局はかなり居心地が良いらしく、安倍首相もニコニコしながら出演していました。

 

たかじん氏逝去後もその流れは変わりませんでした。むしろたかじん氏の残した数々の番組の高視聴率を受け、各局がその後追いをしているようにさえ見えます。おそらくはその結果が、私が先日見かけた『胸いっぱいサミット!』であり、東野幸治氏が司会する『教えて!ニュースライブ 正義のミカタ』 なのでしょう。立場を利用した愛人大量作成問題で揉めて在京メディアからいなくなった岡田斗司夫氏も出演していると聞いてまた頭が痛くなりましたが、これまた民進党をボロクソにやっつけている内容の番組だそうで・・・いや民進党も色々ありますけどね。この手の番組は大抵吉本芸人が司会をしているように見えますが、これも橋下ルートから来ているのか、はたまたたかじん氏からの流れでしょうか?

 

これらの保守系番組に共通しているのが、中国・北朝鮮・韓国への敵意が際立つことです。そりゃ中国の尖閣諸島などでの動きは要注意だし大国相手ですから緊張感は必要ですよ。北朝鮮はミサイルやら拉致された人々の話もあります。韓国も竹島問題がありますし、これら三国にはそもそも第二次世界大戦の時の問題も色々あります。しかし、今の関西圏の番組はあまりに敵意を煽り過ぎでしょう。今すぐ中国が日本に攻め込んでくるかのような勢いです。

 

そしてまた、これらの番組は上で挙げた数々の事件に対してあまりに反応が鈍いんです。いや、それどころか擁護さえしている節があります。実際に市場ずしの件ではそういうコメントがなされていました。

 

私にはこれら一連の事件に対するメディアや国、自治体の反応の薄さが全く信じられません。今の大阪は中国・韓国人観光客がいっぱいお金を落としてくれている事ぐらい、梅田のヨドバシカメラや難波のビックカメラを見れば分かる話です。彼らにそっぽを向かれて観光収入を無くしたら経済的マイナスは否めません。ましてや東京オリンピックを4年後に控える日本ですよ。こんな差別的な関西人が東京の五輪会場で外国人観光客や選手に向かって暴言でも吐いた日には国家レヴェルの恥です。しかも今度は大阪で再度万博開催を、なんて話さえ出てきました。ご冗談でしょう?今のままなら世界の国からこんにちはしてきた人々に塩どころかワサビぶん投げて帰す勢いで、世界の人々にいかに日本が差別国家かをアピールする悪夢の舞台になります。

 

こんな経済的にも人道的にも圧倒的な水準でアウトな状況を、まずマスメディアはまるで危機感を持って報じません。それは在特会の「〇〇人は殺せ」という極めて前近代的シュプレヒコールにも反応が鈍かった時と同じではありますが、あまりに感覚が麻痺してしまっているんじゃありませんか。むしろ擁護している番組など最早論外です。

 

そして国と自治体。特に信じられないのが大阪府大阪市で、直近でこれだけの事が連発して発生し、当事国以外の海外でも報じられているというのにほぼ動きがありません。これは大阪府大阪市が日本人以外の人権を保護する気がないという宣言でしょうか。

 

彼ら、おおさか維新の支持層は外国人(しかも特定の国々)に対して排他的な人々が多いため、松井大阪府知事・吉村大阪市長がこれらの件に対して積極的に動きたくないのは想像がつきますが、だからって何を手を拱いているんでしょう。既に韓国人観光客が暴力を振るわれる事態にまで至っている以上、このまま事態がエスカレートしたら命に関わるような最悪のケースは最早射程圏内でしょう。そうなってしまえば、大阪は、日本は人種差別で観光客を殺める差別大国と世界に認知されます。そんな国でオリンピック?こんな偽善があるかってんですよ。そういう危機感がマスメディア、国、大阪府大阪市のどこにもないのが本当に信じられません。このまま事態を放置して犠牲者が出るようなら、日本はもうオリンピックなんて即返上してしまった方が余程マシです。

 

今からでも遅くありません。更なる被害が出てしまう前に、大阪府大阪市はいかなる差別も許さないと高らかに宣言を出し、それを実現させる具体的な策を速やかに立案・実行に移すべきです。そうしないと関西どころか日本全体にとてつもないダメージが発生します。そうなってしまってからレッテル貼りがどうだとかイメージ回復策だとか後手後手なことをやっても全てが手遅れでしょう。

 

とりあえず差別に対して全く鈍感になってしまった残念な大阪の皆さんに私が適切と考えるワクチンは『あのころはフリードリヒがいた』です。ナチスドイツによるユダヤ人差別政策をテーマにしたこの小説に出て来るドイツ人は、殆ど今の大阪人の姿に重なります。いや断言します、おんなじです。このまま行けばあなた達は遠からず韓国や中国の人々に対して、直接的にせよ間接的にせよ刃を向けることになるでしょう。そうなる前に自分達の醜い姿を、どうかこの岩波少年文庫の本で見つめ直して下さい。あなた達が日本のフリードリヒを追い詰めるその前に。

大阪 is DEAD

いつだったか大阪に里帰りした時、梅田だか難波だか天王寺だか思い出せないんですが駅で「大阪ええ奴ばっかりやで、人情の街やで」と大声で女の子に話し続ける兄ちゃんがいまして、ああこれは明らかにこの女の子に悪い事やる気満々やんけと思った事がありました。あの時の女の子が騙されてエロ同人みたいな事されてないのを願うばかりです。いやあんま読んでないから知りませんが。

 

あれから幾年、先日私はまた帰省など致しまして、久々に大阪でテレビを見ました。うちは両親共に健在なんですが、父がここ数年で一気に右傾化致しまして、『Voice』とかいう紙資源の無駄遣いみたいな雑誌を熱心に読んでます。まあもっとアレな雑誌に行かないだけまだマシなんですがね。PHPとかホント何も生み出さないよなあとあれを見る度思います。あの手の右翼マガジン、高齢者がかなり買い支えてる面があるんですよね。出版業界も不況で何でも売りたいのは分かりますが何だかなあと。

 

が、最近母親も怪しくなって参りました。以前は子供や孫が戦争に行く事になるぐらいなら共産党に投票するとか言ってたはずなんですが、「産経新聞以外はウソばっかりよね」などと事実と正反対の事を言い出してきたのです。いや産経新聞こそネットソースで怪しい記事連打ですがね。

 

で、今回ですよ。みんなで昼飯食べながらテレビ見ていて、『生活笑百科』の仁鶴師匠がすっかり口数減っているのを寂しく思いつつ、ああ隣で仕切っている桂南光師匠が後を継ぐのだなあと番組を生暖かく見終わったところで、母親が「面白い番組があるのよ」と言って関西テレビにチャンネルを切り替えました。番組名は『胸いっぱいサミット!』。見てみるとこれがなかなかヒドい。ワイドショーの体裁ではあるものの喋っているのは実質2人。1人は先日27時間テレビで元維新の上西議員と大喧嘩をやらかした東国原氏です。この人も一時は橋下徹氏と近い立ち位置にいましたが、随分下世話なキャラクターになりましたね。

 

もう1人は青山繁晴議員。この人、先日まで自民党押しのコメントをし続けてきた功績が認められたかのように参議院選自民党から立候補、目出度く議員バッジをゲットしたという腰巾着みたいな存在なんですが、「新人議員です」と涼しい顔で出演しておりました。

 

番組はほぼ終始この2人しか話していませんでした。司会者も政治学者のどなたかも、女性3人もいなかったも同然、最近よくあるひな壇芸人以下の存在感しかありませんでしたね。出演料払う意味があるんでしょうかあれで。

 

いやまあそれはいいんです。まともな政治の話も出来ずに政治家達の話をうんうんと聞くだけの愚鈍な人達でしかないと分かりましたので次からもスルーしとけば良い。問題はそんな取っ替えのいくらでも利きそうな空気人間共ではありません。議員と元議員の2人ですよ。

 

かたや現自民党議員、かたや維新界隈の元議員。政治家としての立ち位置はあまり遠くありません。東国原氏だって一時は自民党に自分を売り込んだ存在ですからね。そんな2人が、北方領土返還交渉についての些末な違いで「大論争」とやらをしているんですが、私から見ればあんなの論争ではありません。近しい立場の2人が些末な違いを声高に話しているだけですよ。

 

青山議員はその後もひたすら自分達のいい事しか言いませんでした。「安倍首相はプーチンに絶対好かれている」と言い切っていたのには苦笑しかありません。ええ、行動の予想し易い、ロシアから見て都合の良い存在としてさぞや好かれていることでしょうね。彼は同様の理由でクリントン候補よりトランプ候補を好んでいる訳ですから。

 

ともあれ、青山議員がほぼ独壇場でしゃべり続けるのに対し、政治評論家氏がせいぜい補足するのと、東国原氏が北方領土で話した以外は他の出演者はほぼ存在感無し。誰一人まともな反論すらありません。これはもう青山議員による自民党政策プロパガンダ番組じゃないですか。

 

たとえば『TVタックル』なら舛添要一氏と田嶋陽子氏の半ばマンガじみた対決があったじゃないですか。単に両論併記すればいいとは限りませんが、少なくともあの番組は舛添氏の保守的な意見に対して違を唱える田嶋氏、という対立構図がありました。最近は見る影もありませんが、かつてはやしきたかじん氏の『そこまで言って委員会』でさえバランスは歪ながらも対論形式になっていましたね。今や、それすらもかなぐり捨てて自民党の一方的な宣伝番組となる事を全く恥じないテレビ番組が出現してしまった訳です。しかも他局でも似たような状況な訳ですよね。だからたかじんの番組がまだ残っているどころかバリバリ健在で、批判される心配が無いと安倍首相が安心して出演したりする訳です。

 

私には冒頭の「人情の街やで」とかいう甘言に騙されようとしている女の子と、今の大阪で何も警戒せずにテレビを見ている人々が重なって見えます。申し訳ないんですが、今の関西のテレビ番組での政治関連の扱いを見て違和感を感じないあなた、あなたはもうあの女の子と同じ運命ですよ。あなたは今まさに騙されているんです。少なくとも、自民党の主張しかほぼ垂れ流さない、反論なり対論なりが存在しない番組を見ているというのはそういうことです。

 

大阪は、関西は既にプロパガンダの真っ只中にあります。その結果が先の参院選での関西圏での民進党議員僅か1名という事態です。関東圏などと比較すれば、これがいかに異常な事か分かるはずです。自民党と維新という、実は大して違いの無い2政党の対決という政治ショー。これから東京でも、小池都知事を中心に同じ光景が繰り返されるのでしょうか。小池都知事のブレーンは橋下徹氏のそれと同じですからねえ。

 

既にキー局でもフジテレビ『ワイドナショー』で安倍首相が出演し、松本人志氏以下誰も安倍首相に厳しい質問を投げられない有様がOAされました。関西圏のあの惨状が全国ネットで再来となれば、日本全国今の関西のような状況になる危険性も高まりますね。政府側の一方的な主張しか放送されない社会、それは果たして民主主義国家なんでしょうか。共産国家や独裁国家の方が余程近いんじゃないですかね。

 

大阪が反骨精神の地だなんて大ウソでした。今頃上岡龍太郎氏は関西の体たらくに呆れ果てて何もしゃべる気になれないのかも知れませんが、叶うなら今一度テレビカメラの前で吼えて欲しいものです。「なに丸め込まれてるんや、アホンダラ!」と。

 

このまま行けばおそらく、日本の民主主義を終わらせた先鞭が関西のメディアの有様だったと歴史には記されることでしょう。関西の皆様におかれましては、そうなる前にどうか正気を取り戻して欲しいものです。「アホ」ではなく「バカ」だったと後で後悔する前に。という訳で・・・

 

はよう目ぇ覚まさんかい、どアホ!

 

 

蓮舫議員問題から見える日本の差別意識悪化問題

いやー、酷い事になってますね。はい、民進党の代表選日本語伴う蓮舫議員の「二重国籍」問題です。いや、本当はそんな問題なんかなかったんです。アゴラってネットメディアと産経新聞が勝手に問題視しただけなんですよね。

 

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/174784/090800060/

先に言ってしまうと、この蓮舫議員の件についてはもう上掲の小田嶋隆さんの文章が殆ど全貌を捉えており、あまり追記する必要はありません。ですので、私としては二重国籍の疑い云々のクダラナイ(そう、クダラナイんですよ)話はもう終わったものとして、小田嶋隆さんの文章に僭越ながら補足を加えるぐらいの意識でこのエントリーを書きます。

 

私の感想ですが、多分この「二重国籍」話は元々東京都知事選の際に仕込まれスタンバイされたんじゃないかと思うんです。あの時、保守分裂の状況で蓮舫議員が東京都知事選に打って出れば小池百合子氏もかなり危うかったでしょう。そんな状況を変えるべく、蓮舫議員のマイナス材料が探された事は、実際に都知事選に出るなり女性問題のトラブルが発掘さ文春砲としてブチ込まれた鳥越俊太郎氏の顛末から考えれば想像に難くないでしょう。ただ、蓮舫議員は都知事選に出馬しなかったのでこのネタは一旦ストックされた。それが、民進党代表選の立候補ということで早くもリサイクルされた、ということなんでしょうね。

 

そもそも蓮舫議員にケチをつける、イメージを悪化させる事が目的だったためもあってか、本件はあまりスジの良い話ではなかったように見えます。つまり、あまり蓮舫議員を追い詰めるのには決定力も弱い上に、国籍というともすればナイーヴなテーマなので声高にあれこれ言い立て過ぎると逆に追及する側がキズつきかねない諸刃の剣であり、実際今回蓮舫議員を叩いた側は差別主義者との誹りを受けています。そこで最初に騒いだ側が自己正当化の為に蓮舫議員を叩いた事を正当化出来るロジックを必死に探しているのが今の状況でしょうね。

 

既に二重国籍云々の話はクリアになり、過去の雑誌での蓮舫議員の発言についてもそれなりに納得行く説明がなされました。じゃあどうする?そこで「ウソの説明をしたのが悪い」ですが、これもまあ事実確認が甘かったね、いけないね以上の話にはなりません。

 

と思っていたら先日、新たなロジックが誕生しました。曰く「法的責任がないと言うが蓮舫議員だってかつて法的責任の無かった松岡元大臣を追い詰めて自殺に追い込んだ!」・・・一見それっぽいロジックで3桁RT行ってましたが、いやまあしれっとウソをつく奴と、そのウソに騙される奴がいるんだなあとしか思えません。

 

まず、仮に松岡元大臣を追い詰めたのが蓮舫議員と民主党(当時)だから悪だというのがもうおかしいんです。松岡元大臣ってそんなヤワなタマじゃないんですよ。

 

http://officematsunaga.livedoor.biz/archives/50386293.html

 

こちらは松岡元大臣自殺当時、オフィス・マツナガが出した記事です。今では自民党大好き、反民進党カラーを濃厚に打ち出しているオフィス・マツナガですが昔はそこまで偏りは無く、政界の裏情報をバランス良く教えてくれる良質なニュースソースのひとつでした。今ではなかなかアレな愛国系ソースと化しておりますが・・・。

 

これ以外でも松岡元大臣がどんな政治家だったかを調べれば、野党の追及如きそれまでもやらかしてきたあれこれと大差無いのが分かるはずです。むしろ、さっきの記事を見ていると松岡元大臣を追い詰めたのはスキャンダル連発で選挙に勝てない事を焦り、松岡元大臣に辞任を促す圧力をかけた自民党側のようにしか読めません。

 

もしこれだけ真っ黒だった大臣を追及する事が誤りだったと言うならば、野党は今後与党の不正を糾してはいけないことになります。あれ、民主党政権時代にも色々大した事のない発言で揚げ足取って大臣解任みたいな話がありましたが、あれは良かったのでしょうか。随分と都合の良い話ですね。なんかやたらモノの値段を尋ねる民主党議員がいた?まああまりあれを評価もしませんが、少なくともそれは蓮舫議員ではありませんし、だからって蓮舫議員への差別的なバッシングが許される訳ではないでしょう。

 

そう、今回の国籍の話はややこしいんです。たとえばノーベル賞を取った日本人の国籍が実は日本脱出済みだったりしますよね。スポーツ選手と国籍の話は?彼らは良くて政治家だけダメなんですか?とか、とにかくスジが良くない。与党議員達が今回菅官房長官以外表向きは何も話さないのは賢明というべきでしょう。菅官房長官すら、原則論を話したに過ぎません。

 

私はむしろ、この件ではしゃいで蓮舫議員バッシングに勤しむ方々が心配です。というのも、この国は4年後に東京でオリンピックをやる訳で、そんな国で今更こんなアナクロな国籍問題が起きてますなんて話は国際的に何のプラスにもならないどころか、むしろ国の恥になりかねません。

 

先日も浦和レッズ関連で差別的なファンの言動で何度も騒動が起きてます。あんなのが五輪本番で起きたらインターナショナルに日本の恥な訳で、特に五輪が近付くにつれてそのあたり厳しくなる可能性は低くありません。そうなったら、今好き勝手に蓮舫議員を差別的な文脈で叩いているお歴々・・・維新系議員、アゴラ、産経、青林堂、保守速報系まとめサイト、ネットに蔓延る「愛国」系評論家・活動家達はあっさり自民党から切り捨てられてもおかしくはないのです。

 

少し前まで彼らのアイドルの1人だった元自衛隊の田母神氏なんて、選挙違反一発で庇われもせずに塀の中に落ちました。かなりアウトな状況だった甘利前大臣を守り切った(それもどうかとは思いますが)のとえらい違いですね。そう、自民党から見て彼らは自分達が言えないような過激な発言をやってくれる都合の良い存在でしかないんです。それで野党側の評判が下がれば良し、風向きが悪くなれば全てそれを言っていた連中の責任にして切り捨てればノーリスク。なんか昔のヒーローもの番組の悪役まんまですね(笑)。

 

そんな訳なので蓮舫議員叩きにまだ勤しんでいる皆さん、多分そろそろそれぐらいにしといた方がいいと思いますよ、田母神氏の後を追う前に。これは忠告とか警告とかそんな偉そうなもんではなく、アドヴァイスです。ご検討頂けますと幸いです。

政治家とメディアの関係

泉田新潟県知事が次回知事選への立候補を取り下げた事が、結構な反響を呼んでいますね。福島原発事故を契機に新潟の原発再稼働にあたって東京電力に対してもっとも苛烈かつ的確な指摘を行い続けていた泉田知事でしたが、案の定狙い撃ちされたようで選挙にも影響力大の新潟日報紙には泉田知事への批判的な記事がガンガン掲載。一方で東京電力の広告出稿もガンガンだったそうで、ここまでモロ出しだと流石に笑うしかなくなります。カネに転んで筆を曲げる分かり易いサンプルとして後世に語り継ぐべきですね(笑)。

 

この件で私が今回最初に連想したのは、田中康夫長野県知事のことでした。「しなやかな改革」を旗印に透明ガラス張りの知事室というアイデア、ダム建築ばかりの旧態依然とした県の手法へのメス入れと一時はメディアでも非常にもてはやされていた田中知事でしたが、昔のように公共工事で潤いたい守旧派との戦いに最終的には敗れ去ってしまいました。あの時も結局地元メディアは田中知事から離れていったんですよね。田中知事側に全く問題が無かったとは言いませんが、分かり易い反動だよなとは思いました。田中知事が退任した途端にガラス張り知事室をやめるあたり、後任の方はボクはやましいですよと宣言してるようなもんなんですけどね(笑)。

 

特に選挙を考えると、メディアが敵が味方かはそれなりに大事です。右寄りな方々はよく反日朝日新聞ガーとか仰いますが、押し紙問題はあるにせよ日本最大の部数を出している新聞は読売新聞な訳ですからね。渡辺恒雄社主の動き方を見れば、ああ自民党政権に都合の良い方向に世論を動かそうとしてるなーって社説ばかりなのも普通に納得が行きます。まあ朝日新聞だって近年は結構読売新聞と違わないなーと思う場面がありますが。産経新聞?いやあ、あれは広報紙だと思わないと。民主党政権誕生時に「下野なう」って言い放った新聞ですよ?

 

 もちろんテレビはもっと重要です。安倍首相は1回目の政権時にメディアにボコられた経験から、今回は徹底してメディアの懐柔を行なっています。新聞の首相動向を見れば、首相がいかにメディア幹部と夕食を共にしているか分かりますね。先日はとうとう新聞社へ首相が出向いて、しかも他の新聞社の幹部まで集まって一緒に食事してましたが、あれを見て公正な報道をあれらのメディアがやってくれると無邪気に信じるのは無理がありますな。そんな安倍首相は更に露骨にNHKを押さえにかかりました。元々首相になる前からNHKに圧力をかけて番組内容を改変させた実績のある首相は、会長を自分の息のかかった人間に変え、自分達に不利な報道の抑制とプロパガンダ化を進めさせました。そのあたりについての詳細はまた次の機会に譲りますが。

 

全国的なメディアがかなりこの首相の食事接待攻勢で与党側にたなびきつつある中で、地方メディアは実は割と反対の動きを見せています。中日新聞(東京新聞)は今でもなかなか与党の動きに対して批判的な論調を崩していませんし、神奈川新聞は昨今の反動的な動きに対して警鐘を鳴らし続けています。しかし、まあそんな新聞社ばかりでは当然ありません。上記の新潟日報の場合は東京電力がバンバン広告を打ちまくってまして、あ・・・(察し)って感じではありますね。

 

じゃあ沖縄はどうなんだって話ですが、あれはもうメディアも総じて翁長知事を支持していますね。元々自民党出身で長年那覇市長を務めてきた翁長知事は保守分裂して野党と組んで出来た県政でもあり、元々幅広い支持を得やすかったというのもあるかも知れません。こういう状況だからこそ自民党筋や彼らと親しい百田尚樹氏などは沖縄の新聞社2社(琉球新報沖縄タイムス)をボロクソにけなし、潰せなどと時代劇の悪代官みたいな台詞を口にするのです。沖縄では新たな新聞社設立の話もあるそうで、ああ産経新聞系なんだろうなあという感じですな。そういう姑息なメディア戦術だけで沖縄の状況がすぐ変わるとも思えないのですがね。

 

地方メディアとの付き合いが一番上手いのはおおさか維新改め日本維新の面々でしょう。元々テレビのバラエティー出演で芸能界にもコネクションがあった橋下徹氏は大阪のメディアを見事に懐柔し、自分達への批判的な報道をほぼ押さえてしまった感さえあります。民進党に成り代わり野党第二党になろうという彼らの作戦は先の参議院選で関西地区での民進党当選者が京都の福山哲郎議員ただ1人という結果を見る限り大成功していますね。私の両親や友人達もすっかり懐柔されてました。橋下徹氏のメディア対策については松本創氏の「誰が『橋下徹』をつくったか」が詳しいので是非一読をお勧めします。

 

恐らく、東京で今度は小池都知事が橋下徹氏と同じような動きに出ると思います。小池都知事はメディア出身だけあって立ち振る舞い、パフォーマンスは本当に上手いですね。同じテレビ畑でも「ルーピー」のヤジぐらいしか実績の無い丸川珠代議員とは雲泥の差です。日本新党からキャリアを始めてあちこち渡り歩いてきただけのことはあります。中身はすっかり極右政治家になってますが。

 

小池都知事は自民党に逆らったように見えますが、今のところ自民党から何の処罰も受けておらず、また本人も積極的に自民党を飛び出す意思はないように思われます。私は小池都知事は結局自民党に留まると踏んでます。ただ日本維新と組んで東京で民進党勢力を追い出す役回りもあり得るかなと思い始めました。肝心の橋下氏との関係があまり良くなさそうに見えるので何とも言えませんが。橋下氏、石原慎太郎氏とも折り合い悪かったですからねえ。保守系保守系で色々あるのかも知れません。

 

ともあれ小池都知事が東京でどう立ち回るかは注目です。まずはリオ五輪での閉会式、そして築地市場移転の延期(あくまで延期ですが)とポイントは稼げていますが、東京五輪についてのコスト問題に切り込めるかは重要なところです。ここで森元首相とやり合えるか。いや、多分やり合う演技止まりでしょうけど。

 

築地市場移転問題も難しくて、これは石原都政への批判に繋がるんですよね。舛添前知事は石原都政の残務整理を地道にやっていましたが、果たして小池都知事にそれが出来るか。ある意味地雷処理みたいな仕事ですからねこれ。まあ、まずは橋下氏みたいに最初威勢の良いことだけ言っていつの間にか引っ込めていないか注目しましょう。

 

あれ、そう言えば小池都知事は都議会を即時解散するんじゃなかったでしたっけ?あれれ?

安倍マリオを攻めるのはよしなさい

リオ五輪、皆さんご覧になられましたでしょうか。私はあんまり見なかったんですけど、まあなんやかんやで盛り上がりましたね。治安が心配されていて実際色々起きましたが、まあ選手村でテロの犠牲者が出たミュンヘン五輪に比べればまだ救いはあるかなとは思います。だからやっぱり五輪はやるべきだ、東京五輪に反対する奴はバカだみたいな論調も見かけましたが、いや五輪開催中じゃなくて五輪終わった後の施設維持コストが問題なんですけどねえ。

 

さて、そんな中でリオ五輪の閉会式が反響を呼んでいます。なんと小池都知事のみならず、安倍首相までが閉会式に顔を出しました。しかも、まさかのマリオ役で土管から登場ですからね。このパフォーマンスについて、世間受けは概ね好評のように見えます。一方でこのパフォーマンスについてボロクソ言う向きも見られますね。

 

お前はどうなんだ?はい、お答えします。まあ貶すのは難しいかなーと。

 

私は安倍首相支持者ではないし、消極的自民党支持者でもないんですけど、この件に関して安倍首相に批判を浴びせるのはあまり得策ではないように感じます。以下、安倍首相のパフォーマンスに批判的な意見を引用しつつ、その理由を述べます。

 

1.そもそも五輪憲章違反

 

オリンピックにおいて政治的なアピールは禁止とされます。黒人差別に抗うパフォーマンスを表彰台で示した結果、その後徹底的に干されたアスリートも実在するぐらいです。いや、でした。

 

しかし、残念ながら前回ロンドン五輪では流石に本人ではないにせよエリザベス女王まで出て来てしまったじゃないですか。政治的な実権はともかく、君主が五輪開会式で使われる時代に総理大臣が閉会式に出るなんて!とクレームつけても、残念ながら共感を得るのは難しいです。

 

そもそも安倍首相があそこでああいうパフォーマンスをすることを五輪関係者は当然知っている訳で、つまり彼らは政治家が五輪の閉会式に現れる事を許したという事なんですよね・・・。

 

2.国粋的なアピールだった

 

日の丸、君が代が前に出ていた、右翼な安倍首相と小池都知事らしいパフォーマンスだという非難も見かけました。確かにこの2人は右翼系な政治家ですけど、この線で攻めるのもなかなかハードルが高いです。だって、ここは五輪会場ですから。

 

ギリシアを筆頭に各国の国旗がはためき、金メダルを取れば国歌が流れるのが五輪という場所です。そこでパフォーマンスする以上、国歌が流れるのも日の丸が出て来るのも不自然でもありません。

 

むしろ、あのパフォーマンスの内容はやや国粋的なイメージを抑制していたように見えます。確かに君が代は流れましたが小池都知事も着物を着ていただけで特におかしな事はしておらず、安倍首相に至ってはマリオでしょう。なぜイタリアの配管工ルックなんだと揶揄する報道が海外にもありましたが、あそこで神主ルックとか時代錯誤な事をやらかしたならともかく、むしろ世界に名が通っていて洋服姿のマリオを選んだ事はむしろ日本が日本がとガーガー言う文脈からは遠くなってますよね。

 

音楽担当の中田ヤスタカはブラジルへのリスペクトとしてサンバのリズムで楽曲を作成していましたし、椎名林檎プロデュースのショーも日本ガー日本ガーというような感じではありませんでした。映像も渋谷のスクランブル交差点は外国人観光客にはお馴染みの場所ですし、女子高生を出すのがイヤらしいとか言われてもあの子も実はアスリートだったりします。アニメキャラのセレクトもユーロ圏や南米に強いキャプテン翼、世界のハローキティ、アジア圏で認知度の高いドラえもん、そしてとどめにマリオでしょう。ピカチュウ入れば完璧なラインアップで、少し前の東京五輪アピール用アニメキャラ大集合みたいなキャンペーン時の残念なセレクトとは大違いでした。

 

あそこで神社をやたら強調するとか、旭日旗が出て来たとかなら分かります。しかし、あの内容のパフォーマンスでは右傾化を叫ぶのに適切な対象ではありません。

 

3.カネがかかりすぎ

 

これはまあそうでしょう。12億円かかったことについては色々言えなくはありません。ただ、上記の通り色々なアニメキャラを出し、結構なCGぶち込んであの映像を作り上げているのも事実。じゃあ何億なら良かったの?と言われると、はたと困ってしまいます。

 

そもそも五輪そのものが金食い虫になっている事は事実であり、その攻め筋は正しいんです。ただ、このパフォーマンスについては「まあそんなもんかもね」で済まされる可能性大ではないでしょうか。ここで必死に「いや、かかり過ぎなんだよ!」と声を荒げても多分共感を得るのは難しいでしょう。ああ、この人は安倍首相が嫌いなだけなのね、で済まされて終わりかねません。

 

総じて、今回のリオ五輪での安倍首相を含めた東京五輪アピールは良く出来ていたと言わざるを得ません。ああ、広告代理店が久々に本気出しよったなあという感想ですね。現政権の姿勢を考えればこれは政治的に突出してナショナリズムを強調した内容ではなかったと言えます。しかもラストの曲、あれは椎名林檎野田秀樹の舞台『エッグ』に提供したものです。詳しくはググってみて下さい。椎名林檎、実はかなり攻めてたんです。

 

こういうところで安倍首相ガー安倍首相ガーとしつこくやっても、なかなか賛意は得られないでしょう。今回はむしろ非常にうまくやったということです。安倍首相を責めるならここは諦めてさっと引いて、沖縄基地問題なりアベノミクスの現状なり別のフィールドでやりましょうよ。

 

最後に一言。でも、あの土管から登場した時の安倍首相、あんまり笑顔じゃなかったんですよね。すぐマリオの衣装を脱いだあたりからしても安倍首相自身はあんまりマリオをやりたくなかったんじゃないでしょうか。あの人、国会とかテレビ出演を見てても分かりますけど不機嫌なのがすぐ顔と口に出ますから(;^_^A

 

見てないフリはやめましょう

さて早速2回目です。いや前回エントリーは前振りみたいなもんだから今回が実質初投稿みたいなもんですかね。

 

ネットを見ているとSEALDsはバカだの吉永小百合はお花畑だのと今日も悪口が飛び交っております。うん、それキミらが気に入らない意見の人間達をただ否定してるだけやな。人格攻撃はよしなさいと思うんですが、まあそれはさておき。

 

天皇陛下が今回直々にメッセージを発せられたというのはなかなかインパクトがあるニュースでした。陛下自身が何度も言及されているように、日本国憲法において天皇陛下には政治的な実権はありませんし、本来特別な意見を発信する事はありません。昭和天皇時代には天皇家では全社の新聞を取っていたという話があるぐらい、皇室界隈は本来政治にはナイーヴに接していました。

 

陛下の公的な発言を聞いていると「日本国憲法を守って」という趣旨の発言が最近特に目立つように思います。特に安倍政権になってから、天皇陛下の言動は驚くほど政治的ですね。以前には日韓関係が悪化した際にわざわざ皇室と朝鮮半島との繋がりに言及された事もありましたし、故米長邦雄氏が「日本中の学校で国旗を掲げ、国歌を斉唱させることが私の仕事でございます」と言ったのに対して「やはり、強制になるということではないことが望ましい」と切り返すなど、近年の陛下の発言もギリギリのところを攻めているなあという印象を持ってはいました。

 

http://www3.nhk.or.jp/news/special/japans-emperor/

 

今回の生前退位に関する発言も、流石に直接「生前退位したい」とは仰らなかったものの、公務を減らす、摂政を置くといった方法には反対である旨を仰っており、まあ普通に読めばこれは「生前退位したいです」と言ってるのと同じですね。もがりの行事にまで言及してこれを出してきた意味、事前に漏れていた情報を合わせて考えてもその意図は明らかです。

 

宮内庁が当初生前退位について否定的なコメントを出していましたが、皇室の方々と宮内庁は一枚岩ではなく、むしろ逆に皇室の意向に宮内庁が反対するのは珍しくありません。今回も陛下の意向に宮内庁が反対したものの、陛下の強い意志に宮内庁が押し負けたということでしょう。

 

ところが、そんな陛下の意向をスルーしたい向きが世の中結構います。特に私が驚いたのはTwitterで有名になった猫組長さん。私もこの方のTweetは好きなんですが、「天皇陛下のメーセッージから「強い生前退位の意向」など感じられない。高齢による公務への不安と皇族、国民への気遣いと捉えるべきであり、今後の議論を提起されたものだ。」とTweetされていたのにはちょっと驚きました。いや、猫組長が政治的なスタンスからそれを認めたくないのは分かりますけど、陛下が明確に生前退位(言葉は譲位でもなんでも良いですが)以外の可能性を予め否定されている以上、これは生涯天皇でなければならないという今の天皇制を変えて欲しいというリクエストに他なりません。文脈を読めば分かる事を否定される今回の猫組長のご意見、私は賛同出来ませんでした。

 

いろいろ読んでみると陛下は生前退位なんて言ってない!と言う向きは結構いるようです。いやその線はもう難しいですよ。せめて渡部昇一みたいにすっとぼけて陛下の意向をスルーして摂政を、とか言ってみる方がまだマシです。「いや陛下が否定されてますけど」って秒で突っ込まれますが。

 

http://www.sankei.com/smp/premium/news/160813/prm1608130013-s1.html

 

でもね、こういう「見て見ぬフリ」は誰にもあります。ここまでは産経系の方々にキビシイこと書きましたが、いわゆるリベラルとかの方々だってそうなんですよ。

 

http://www.musashinet.co.jp/department/election/

 

特に最近、選挙の度に「ムサシ」なる言葉を見かけます。色々読んでみるとどうやら選挙の投開票時に活躍している会社らしいんですね。

 

で、リベラル系の方々が時々、この会社を怪しんでいるのですね。この会社のシステムを使って選挙で不正が行われ、自民党が勝利し続けているんだ!と彼らは叫ぶのです。うーん、選挙違反は色々ありますし私もなかなかシャレにならん投票現場を見かけた事はありますし全く不正が無いと言い切る訳ではありませんが、それでもこの「ムサシ」が近年の自民党勝利の立役者だとは思えないです。

 

先の参院選が正にそうでしたが、自民党だって接戦で落とした選挙区が少なからずありました。不正選挙をやるならそういうきわどい選挙区を狙うのが筋なんじゃないかと思うのですよね。それに東京選挙区では蓮舫議員がトップ当選で、最後のひと枠もおおさか維新の田中康夫氏を僅差で民進党の小川議員がかわして当選しました。不正?ありますかねこれ。

 

とある方などは「三宅洋平氏が100万票集めて当選する」と言い切っていました。いやあ、確かに三宅氏は渋谷駅前などでかなりの人数を集めはしましたが、残念ながら彼らが全員三宅氏に投票した訳ではありませんし、仮にそうだったとしても勝てたとは思えません。

 

私は現在の選挙結果は不正とは思っていません。今の感じならこんなもんでしょう。私の回りの人達もすっかり右へ急旋回し、本屋の店頭のみならず職場でさえヘイトな月刊雑誌を見かけるような昨今です。私の肉親だってかつてはややリベラルな立ち位置だったはずなのに、今や産経新聞の忠実な読者と化しています。世論の移ろいは早いんです。大正時代には軍人が疎まれた時代があったそうですが、昭和に入るなり軍人のステータスは上がり、そこからの「欲しがりません勝つまでは」→「撃ちてし止まむ」→「一億玉砕」のコンボですからね。

 

リベラルな皆様におかれましては、そんな現実から目を逸らし「これは不正選挙だ」と嘯くのではなく、まず今の日本が残念ながらファシズム寸前になっているにも拘わらず依然として現政権が高い支持率を維持している事実を認めるところから始めるしかありません。「自分は正しいことを言っているから伝わるはず」なんて夢を見るのはやめましょう。伝わるように努力しないと何も伝わらないし、何も変わりません。「安倍氏ね」で溜飲を下げてるだけじゃ仕方ありませんし、ましてや現実逃避などもっとナンセンス。「戦わなきゃ現実と」です。

 

という訳で左右どちらの皆さん共「現実から目をそらすのはよしませんか?」というお話でした〜。 

当ブログを読むにあたってのお願い

ハローボンジュールこんにちは(2回目)。

 

こちらはいわゆるひとつの政治とか社会とか、些か重いといいますか何だかメンドくさそうなテーマをあまり深く考えずに書いていくブログを目指しております。こういうテーマでブログとかを立ち上げると、まあ一般的にはコメント欄とかが荒れます。ましては近年のトレンド、愛国的な方向ベクトルに抗おうものならさあ大変。サヨだブサヨだパヨクだ日本人じゃないだ日本から出て行けだと正に非国民扱いで、昭和初期に政府にアゲンストな事を主張して政府からも世間からも弾圧された方々の境地を追体験することが出来ます。

 

当ブログではなんかそういうですね、無意味かつ非生産的な罵り合いはしたくないのですよね。つー訳で皆さん、脊髄反射でコメント欄に考えの無いコピペみたいなレスを並べる前に以下のお願いぐらいは目を通して頂けますと幸いです。

 

1.レッテル貼りをしない

 

さっきは「サヨ」「ブサヨ」「パヨク」「日本人じゃない」あたりのまだマシなヤツを書き並べましたが、TwitterやらYahoo記事のコメント欄やら見てるともっとヒドい修飾語が溢れていますね。いやこの場合は修飾してないか。Facebookとかの実名アカウントでよくそんな罵詈雑言が吐けますねあなた、という方々もよくお見受けします。

 

安倍首相も国会で言ってたじゃないですか、「レッテル貼りはやめましょう」って。いや割と直後に安倍首相本人が「日教組」とかヤジ飛ばしてレッテル貼りしてたやんとか本当の事を言ってはイケナイ。つーかですね、そんな「俺と違う意見の奴は〇〇に違いない」みたいな頭の悪い決め付けはまず止めましょうよ。違っていた時の恥ずかしさったらありませんし、そもそも議論に何の関係もありません。そんな無駄な文字を入力するエネルギーが勿体無いですよ。

 

2.個人攻撃をしない

 

これはまあ1.のレッテル貼りにも通じますね。死刑囚になるような極悪人だって優れた芸術や思考を見せることはあります。彼や彼女がどんなに下劣な人間だったとしても言ってる事が正しい可能性はあるんです。直接彼や彼女の論説にダイレクトに繋がるような事でない限りは、そういうのもいかがなものかと思いますよ。政治家が賄賂だとかアレな組織に関わってるとか、明確なエビデンスがあるなら話は違いますが。

 

これは左右どっちにもあります。たとえば安倍首相の政策を批判する、これは問題ありません。でも「安倍首相氏ね」とかはダメでしょう。言ったあなたは溜飲が下がるかも知れませんが、安倍首相の支持者から見たら「は?何言ってんのお前」ってなもんです。それじゃ何も変わらない。相手が信じるものを批判するなら尚更、相手が耳を傾けてくれるように丁寧かつ丁重にやるべきです。

 

3.人間同士、仲良くやりましょうや

 

ボトムラインはここです。ネットでヒートアップしてるケースって結局、互いに顔も知らない、面識も無い者同士で揉めてるケースが殆どだと思うんですよ。これが例えば同じ会社の人とか、学生時代からの友人とかだったりしても同じノリでいきなり「おまえ氏ねよ」とかメンション飛ばします?しませんよね普通。

 

人間、知り合いになるかどうかは所詮は偶然です。たいていの場合はたまたま近所に生まれ育った、たまたま同じ学校だった、たまたま同じ会社・業界に就職したから面識があるだけでしょう。ならば、今まさにケンカ腰でキタナイ言葉を投げかける前にちょっと思い直してみませんか。メールとかでもそうですが、一旦書き殴ったアレなメールも冷静になって読み返してみたらアイタタタって感じだったりしませんか?同じですよ同じ。今は知らない顔でも将来思いがけないところでお会いしてしまうかも知れません。議論するなら仲良くケンカしましょうよ。

 

・・・思いついたらまた追記しますが、とりあえずこんなところで。では末長く宜しくです。